当研究室の概要

小林研究室は山形大学人文社会科学部 人文社会科学科 人間文化コース 認知情報科学プログラムに所属します。

研究テーマ:認知的コントロールがどのように価値判断,意思決定,行動生起を支えるか

当研究室は行動科学の研究室として,「認知的コントロールがどのように価値判断,意思決定,行動生起を支えるか」という大きなテーマを持って研究を実施しています。現在は以下の3つの視点に特に注目しています。

1. 過去の行動と将来の行動(記憶と未来思考)

過去の行動すなわち経験(記憶)は,現在そして将来の行動に大きな影響を与えます。当研究室では,記憶の中でもエピソード記憶と呼ばれる,時間や場所が特定された出来事(エピソード)の記憶に着目した研究を行っています。エピソード記憶は,Mental time travelと呼ばれるような過去の行動を「再体験」するような感覚を伴うという特徴があります。近年の研究からMental time travelは未来方向に対しても可能であることが明らかにされています。このような未来において,起こりうる出来事を詳細に考えることはエピソード的未来思考(Episodic future thinking)と呼ばれます。当研究室では,過去の行動と未来の行動がどのように関わり,そしてそれぞれがどのような機能を持つのかを調べています。例えば,情報や物事の価値の変化に記憶がどのような役割を担うかどうかについての研究を行っています。

2. 感情と行動の相互作用

感情は認知や行動に様々な影響を与えます。例えば,「後悔」というネガティブな感情は,過去に選択した行動に対して,別の選択を行えば「よりよい結果」が生じたと捉えている場合に生じる感情です。したがって,「後悔」は行動の結果によって生じた感情だと捉えることができます。そして,「後悔」を感じている行動であるほど,将来において同種の行動が取られにくい(回避される)ことが示されています。また,ノスタルジアという「懐かしい」感情は,社会的感情の1つであり複合感情としても知られていますが,ノスタルジアには個人や対人に対するポジティブな機能を持つことが明らかになっています。例えば,ノスタルジアを感じることは,楽観性を高め,様々な挑戦を促すことなどが知られています。このように,当研究室では,ネガティブ感情やポジティブ感情が様々な行動や意思決定にどのような影響を与え,感情がどのような役割や機能を持つのかを調べています。

3. 健康・パーソナリティ

当研究室では,パーソナリティ・個人差や健康についても研究を行っています。特定のパーソナリティが持つ認知・行動の特徴についてや,健康に関わる認知・行動の特徴について,感情と認知の相互作用とも組み合わせながら研究しています。例えば,抑うつ傾向などの精神疾患傾向において見られる特異的な認知・行動のパターンはどのようなものであるかという点から,ネガティブ記憶の忘却と抑うつ傾向の関連を調べるといった試みなどが挙げられます。「ネガティブ」な個人差だけではなく,幸福感といった「ポジティブ」な個人差における持つ認知・行動の特徴についても研究を行っています。また健康に関する研究として,身体的健康に影響する喫煙行動について,喫煙者と非喫煙者の間で喫煙行動に対する潜在的認知・顕在的認知がどのように異なるのかについても検討しています。喫煙行動だけでなく,食行動についても関心を持っており,食物の美味しさ評価にその食物を覚えていること(食物記憶)がどのような影響を与えるかという研究も行っています。

当研究室に関心をお持ちの方へ

人文社会科学部から当研究室への進学を希望される方へ

当研究室に進学を希望される方は,2年次に「認知情報科学プログラム」を選択して下さい。「認知情報科学プログラム」では情報科学,認知心理学,行動科学といった諸領域を総合的に学びます。

編入学を希望される方へ

当研究室に編入学を希望される方は,編入学される際に「認知情報科学プログラム」を選択して下さい。「認知情報科学プログラム」では情報科学,認知心理学,行動科学といった諸領域を総合的に学びます。大変申し訳ありませんが,公平性の観点から受験前の小林への個別面談はご遠慮いただいております。山形大学の入学説明会やオープンキャンパスにご参加いただければ幸いです(https://www.yamagata-u.ac.jp/jp/entrance/)。

大学院生・学振PDを募集中です

当研究室では,大学院生(修士課程)・研究員(学振PD)を募集しております。大学院は,山形大学大学院社会システム研究科文化システム専攻(人間科学)となります。当研究室では研究室訪問を随時受付中です。お気軽にご連絡ください。当研究室(小林を指導教員)を受入先として大学院を受験される方は,指導可能なテーマを参考の上,可能な限り,受験前にご連絡いただくようお願いいたします
*申し訳ありませんが,国内・国外問わず,研究生については,基本的には受け入れておりません。当研究室にて研究を行いたい方は,学部生・大学院生としてお入りください。

指導可能なテーマ

以下が小林が指導可能なテーマです。「中心的に指導可能」なテーマは,小林がこれまで研究したことがある or 研究中のテーマです。世界的な動向の理解や知見の紹介などといった充実したサポートが可能です。「周辺的に指導可能」なテーマは,小林が研究はしていないものの,ある程度の知識や動向を知っているものです。助言はできますが,最新の知見や理論については自身で探索していただく必要があります。このテーマについては小林に教えるというイメージで臨んでいただければ幸いです。「指導が困難」なテーマは,専門から外れていたり,設備的に困難なテーマです。当研究室以外にも目を向けていただけるとよいかと思います。

中心的に指導可能
  • 思考・記憶の制御
  • 意図的・非意図的忘却
  • 感情記憶
  • ノスタルジア
  • エピソード的未来思考
  • 虚記憶
  • 上記以外の長期記憶関連
  • Cognitive offloading
  • 食物
周辺的に指導可能
  • 感情
  • 意思決定
  • 思考・マインドワンダリング
  • パーソナリティ
  • 潜在的認知
  • 精神的健康
  • 身体的健康
指導は困難
  • 臨床群を対象とした研究全般
  • 精神分析
  • 神経科学
  • 動物(学習・比較心理学)
  • 乳幼児
  • 児童

研究室の運用・指導方針

当研究室の基本的なスケジュールとしては,週1回の近況報告を行っています(現在はオンライン)。随時,個別に相談しながら,研究を進めていただきます。